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ハッ、と目を覚ますと、目の前には汗を浮かべながら必死に私の肩を揺さぶるなかむ。先ほど呼ばれた名前も、いつもの彼の声で。渦巻いていた黒も落ち着いた白に代わり、大きく吐き出した息と共に大きな安堵感か訪れた。意識が戻ってきたのを確認すると、彼は私と同様、安堵するように大きく息を吐いた。
「ごめん。やっぱり見せるべきじゃなかった。ほんとにごめん、」
収穫はあったのか、彼について何か分かったのか。そう問われれば答えはNOだった。正直何も分からなかったし、ただ自分が恐怖体験をしただけのようにも思える。でも、なかむがわざわざそんな物を見せてまで私を傷つけるような人にも思えないし、これもきっと何かの意味があって彼なりの意図があったのかもしれない。気にしないで、と言えば、彼は私を強く抱きしめた。それは私に対しての謝罪のようでもあり、存在を確かめるようなものでもあった。恐怖の緩んだ身体を大人しく彼に預ける。あぁ、優しい。温かい。
気づけばぽろぽろと涙が溢れ、頬を伝った。それに気付くと、なかむは顔を近づけ涙をそっと舐め取る。熱い舌が目尻をなぞった。くすぐったいようでもあり、少し気持ちいいような気もする。ドキドキとふわふわ、一見相反するような二つの感覚が混ざり合った。
「……A、」
切なげな声が私を呼ぶ。彼の手が頬に触れ、そっと撫でられる。薄浅葱の瞳と視線が交じり、溶け合う。
「好き、愛してる、」
彼の優しい声色が、甘ったるく感じるほどの愛を乗せてとん、と私の胸を押す。その瞬間、全身に熱が広がってそのまま沸騰して蒸発してしまいそうな感覚に陥って。何だか恥ずかしくなって手で顔を抑えるも、手首を捕まれあっさりと視界の外に退かされた。
「ダメ。ちゃんと見せて。」
もう片方の手が顎に触れくいっ、と上を無理やり彼と視線と合わせられる。脈を打つ度に熱が上がって、視界も彼だけしか映さなくなる。
そして再び彼が近づいて………
ちゅ、というリップ音と共に唇に柔らかい感触。顔が離されると、なかむの頬は僅かに赤く染まっていた。でも、私を愛おしげに見つめるその表情は何処か切なさを帯びていて。
「A。Aはおれが一生守るから、だから、もうここにこないでね。」
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神崎いのり(プロフ) - まかだみあさん» コメントありがとうございます。こうやって伝えて頂けるだけでとても嬉しいです、素敵なお言葉本当にありがとうございます。無理は禁物ですよ？改めて、最後までお付き合いくださりありがとうございました！ (5月13日 20時) (
レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
まかだみあ - コメント失礼します、素敵なお話ありがとうございました！最後で少し泣いてしまいました、！言葉にするのが難しいのですが、幸せと感動と優しさですごい感情になっています、笑心の栄養剤です、ありがとうございました。もう少し生きてみようと思えました。 (5月11日 14時) (レス) id: f1ef938d5f (このIDを非表示/違反報告)
神崎いのり(プロフ) - あおさん» コメントありがとうございます！お褒めの言葉とっても嬉しいです✨これからもちまちまとやっていきますので、是非空き時間のお供にでもしてやってください。読んで頂き本当にありがとうございました🙇 (5月4日 9時) (レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 初コメ失礼します。神崎いのりさんの作品は全て見たんですけど、毎回感動してしまったり、文章の素敵な表現にドキドキしたり、とても楽しく見させていただいてます。これからの作品も楽しみにしてます！素敵な作品をありがとうございました！ (5月1日 23時) (レス) id: 917f0d4c8d (このIDを非表示/違反報告)
神崎いのり(プロフ) - しらたま。さん» コメントありがとうございます！私には勿体ないくらいの素敵なお褒めの言葉ありがとうございます😭こちらこそ、最後までお付き合いくださり本当にありがとうございました。 (4月28日 14時) (レス) id: 8fac357c0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎いのり | 作成日時：2024年4月14日 15時
