【d!】心まで、透明化してよ (ページ15)

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15話ページ15

？？分後

「失礼します」
「…」

トントン様に書類を提出に行ったが
本人は幸運にも眠っていた。彼が起きない
ように手を早く動かして目的物を
集める

書類を集め終えても彼は
眠りについたままだった。
犯人は白い紙の束を連ねて
彼のすぐ横で立っていた

…

「…これもしとこ」

tn「…ぅー……ん、」
tn「……A……」

「…」

「…トントン"さん"…そのまま」
「私(無能)を嫌っててくださいね」
「好きに、戻っちゃだめだよ」

バタン

tn「……へ、」

滝の汗が頬を伝う
落雷の衝撃が俺の鼓膜を蹂躙し
深い深い耳小骨まで落ちていく

今のセリフ。なんなんだ？
嫌いになって、

好きになるな、？

tn「…」

彼女は、無能やない
少なくとも書類の面では十二分の力を

隠していただけ

tn「…あの頃に、戻れるなら戻りたいねん」

貴方が無能では無かった日々に
戻れるのかもしれない

それだけで、机を濡らすのに十分だった

tn「…A。絶対お前に話させてやる」

なんで無能になったのか
さっきのセリフなんなのか

そして

tn「…絶対、元に戻す」

無能じゃないあの頃の彼女に
戻してみせる

──
監視室

rbr「…」

A。今は無能
無能はトントンの頭に手を触れ
先程のセリフを囁いたあと踵を返し
部屋に走り込んだ

…

rbr「…A。お前さんは、下手やねん」

色々。下手くそ

そんなんやから

rbr「…嫌いなのに、嫌いになりきれへんねん」

しねやばか…

─
夜

「…」

度重なる任務と書類で
月の形を識別できないほど
視界が歪んでしまった

早く寝なければ、文字が読めないと困る

なけなしの布団を広げていた矢先

コンコンと、ノックオンが響いた
夜中に尋ねる用事なんて大したことの
試しがない

寝たフリで、体の安全を守ろう

？「…入るで」

「…」

足を踏み込んだ彼の声は
昼間聞いたことがある。

ガサガサとビニールの音

…

何を持ってきた

tn「…この部屋、ほんま…汚いな」
tn「窓も壊れとるし…壁もボロボロ。ベットは…粉砕」
tn「…こんな酷い部屋にしてもうたんやな、俺ら」

tn「…A。俺。《あの時》のことはまだ許せへん。なんであんなことを言ったのかわからん」

tn「けど…Aの罪はそれだけ。俺らは半年間Aに消えない傷を作ってきた」
tn「…どっちが重いんやろうな、ほんま」

「…」